飼い犬がいうことを聞かない!主従関係を作るためにするべきこと

それでは、飼い主がリーダーになるためには、そして、犬を飼い主に対して従順にするには、どうしていったらいいのでしょうか?

それは、犬に対して、「主従関係をつくるトレーニング」をしていったらいいのです。このトレーニングは、専門的には文字どおり犬を服従させるので「服従訓練」と呼ぶのですが、かわいい犬を家族のように迎え入れた方々は、この語感に大きな違和感を覚えるかもしれません。そこで当サイトでは「主従関係をつくるトレーニング」と呼ぶことにしたいと思います。

この「主従関係をつくるトレーニング」がすべてのしつけの基礎となり、また日常生活におけるルールや犬への指示と密接に関わってきます。

たとえば、犬に餌をあげるとき、犬のしつけに力を入れているわけでもない家庭であっても、「おすわり」や「まて」くらいはさせることでしょう。しかし、今回お話しするしつけの立場から見ると、「おすわり」も「まて」も決して“芸”ではないのです。“お食事のマナー”でもありません。では一体何かと言うと、これらは、犬のしつけの重要な基礎となる「主従関係をつくるトレーニング」の始まりなのです。

そして、毎回、餌をあげるたびに犬にそれを繰り返させることは、犬がいつでも素直に飼い主の指示に従うという習慣を徹底させていることになります。よって、日によって「おすわり」「まて」をやらせたり省いたりということがあってはいけないというわけです。

たとえば、朝は忙しいからといって、しょっちゅう「おすわり」や「まて」を抜いて食べさせてしまったら、犬はどうとらえるでしょうか?

残念ながら、「お母さん、忙しいから省略なのね。忙しくて大変ね」だなんて考えてくれはしません。それどころか、「わたし偉くなったのよ! だから、何もしなくてごはんがもらえるの」と思いこんで、次第に飼い主や家族をばかにするようになったり、指示に従わなくなったりしていくだけなのです。

そもそも、家族よりも先に犬に餌をあげるだけでも、犬は自分のほうが順位が上だと認識します。必ず、「家族の食事が終わってから犬の餌」という順番でなくてはなりません。

また、家族の食事の間も、「ワンワン、わたしにも分けて」とか「わたしにも早くちょうだい」などというおねだりを許さないように気をつけましょう。おねだりを聞いてしまうということは、人と犬の立場が逆転して犬のわがままな要求が通るということなので、これまたトラブルへとつながっていってしまうのです。

この簡単な「おすわり」「まて」を日常的に繰り返すということには、他にも利点があります。

犬というものは、何回も何回も繰り返して覚えたことを体の芯にまですり込まないと、覚えたことを忘れてしまいやすいのです。「おすわり」「まて」は、実は簡単ながら重要な指示でもあるので、毎日の繰り返しによって犬に根づかせておくのが一番なのです

また、犬というものは、何かがあって興奮してしまったときには、指示が耳に入りづらくなってしまったり反応しなくなってしまったりしがちです。そういうときでも、しっかりと根付かせたことだったら、指示を聞いた瞬間に犬の体が勝手に反応するかのごとく指示に従うことができるのです。犬のトレーニングは、ここまでやっておかなくては完全とは言えません。

なお、この機会に書いておいたほうがいいと思うので書いておきますが、「主従関係をつくるトレーニング」に加えて、犬との日常生活では「やっていいこと」「やってはいけないこと」の区別を厳しくして犬に教えていってください。この基準を決めるのはリーダーたる飼い主さんなのですが、区別はそのときどきの気分に左右されることなく一貫するように注意してください。

たとえば、ここでは一例をあげるにとどめますが、犬にスリッパをかじることをやめさせたいと思ったら、犬がスリッパをかじっている現場を見つけ次第、いつであっても「いけない!」と強く叱ってやめさせなくてはなりません。「そのスリッパはもう汚れたから、かじらせておいてもいいかな」などと、“場合によっては許可することもある”ということではいけないのです。犬にはそこまでの判断力は期待できません。スリッパはスリッパなのです。一度許されると、犬はスリッパはかじってよいものと認識してしまうか、混乱してしまうだけです。

同じような理由で、犬が留守番をするときなどには、スリッパは犬が自由にできないところにおいておきましょう。「飼い主がいないときには、かじっても叱られない」「飼い主がいるときには叱られる」となったら、犬にとっての飼い主はどういう存在になるでしょうか? あるいは、「飼い主に見つからないところでかじればいいんだ」と犬が認識してしまったら…?

ただし、犬はその習性からしてかじることが大好き。こういう場合は、すべてを禁止されてストレスにならないように、別のものを思う存分かじって満足できるように誘導してあげることも合わせて必要です。

たとえば、スリッパはだめでも、犬のお気に入りになるようなおもちゃやぬいぐるみ、犬用ガムなど、代わりのものを用意してあげるのです。おやつボーン(犬用に加工された本物の牛や豚の骨)も犬が喜ぶこと請け合いです。

他の困った犬の行動を修正する場合も、こういう誘導がしつけの効果を増すケースが多くあるということを、一応覚えておいていただきたいと思います。

さらに、「主従関係をつくるトレーニング」「やってよいことといけないことを教える」などのしつけ以前に必要な、それらの土台ともなる重要なことがあります。それは、あなたのもとで一緒に生活するようになった犬のことを大切に思い、愛してあげていただきたいということです。そして、犬が喜ぶような遊びの相手をしてあげたり、スキンシップやコミュニケーションに努めたりして信頼関係が深まるように心がけていただきたいのです。

当サイトを読んだり実際にトレーニングをしたりしているときに、「このしつけの根底には、こういう犬への気持ちが流れているのだ」ということを思い起こしていただけるなら幸いです。

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