知らない人やインターホンで吠える場合、どのようにしつけすればいいですか?

吠えることは犬が遠い祖先から受け継いできた本能。吠えることが犬にとって自然な行動です。

しかし、無駄吠えは家の中でうるさいのは言うまでもなく、日本の住宅事情では近隣への大きな迷惑にもなってしまいます。近隣へ迷惑をかけたくないという飼い主の気苦労も大変なものなのですが、それでもやっかいな感情的トラブルに発展してしまう例が本当に多いというのが実情です。

無駄吠えの多い犬種というのはやはりありますし、犬の性格によっても大変違ってきます。ですから、これから犬を飼うという人は、無駄吠えの少ない犬を注意深く時間をかけて探すということをお勧めしたいと思います。

すでに飼っている犬の無駄吠えにお悩みでしたら、しっかりとしつけることによって大分改善していくはずです。中にはなかなか効果の見られない犬がいることも事実ですし、無駄吠えが普通となってしまっている成犬ではなおさらです。しかし、あきらめないでいただきたいと思います。人間と一緒に住むためのルールを守れる犬にすることは、犬も社会の中でしあわせに生活できるということです。犬のためにも無駄吠えをできるだけ減らせるように、あるいは無駄吠えをしないようにしつけていきましょう。

ところで、「無駄吠え」ととりあえず呼びますが、犬にとっては必要だから吠えているのだということを忘れないでいただきたいと思います。その上でどういう時に吠えるのかということを整理しつつ、それぞれの場合に応じた対処法を検討してきたいと思います。


お客さんやインターホンに吠えるときは?

大きくわけて、以下の4つの理由で吠え続ける犬がいます。
①警戒のために吠える場合
②テリトリーを守るために吠える場合
③不安や恐怖感から吠える場合
④うれしくて興奮して吠える場合


①警戒のために吠える場合
「誰か来たぞ! あぶないぞ!」犬が自分のテリトリーを守るべく警戒するため、あるいは飼い主や家族に人が来たことを教えるために吠えます。


②テリトリーを守るために吠える場合

上記と同じ状況ですが、「俺さまはお前が入ることを許さないぞ!」「あっちに行け! さっさとあっち行け!」と、犬が自分のテリトリーを守って、来訪者にそこに近づくことを許さないという意思表示です。

警戒やテリトリーを守るために吠える犬の場合は、飼い主と犬が主従関係をしっかりと確立していればわりと簡単に問題は解決します。吠えている犬に対して「いけない」と厳しく叱り、最初の段階では、しばらくでも吠えるのをやめたら、その瞬間を逃さないようにタイムリーにほめてあげます。おやつをあげてもいいでしょう。

さらに次の段階では、「いけない」と声をかけて犬が吠えるのをやめたら、「おすわり」あるいは「ふせ」の姿勢をとらせて「まて」と指示し落ち着かせます。このとき、おやつを見せて気を引いておいたらいいでしょう。そして、落ち着いたら「よし」と許可を与えて食べさせます。そして、次第に「よし」までの時間を長くし、来訪者に対応している間、犬がおとなしく「おすわり」「ふせ」をして待機していられるようにしていきましょう。

長時間の「まて」が苦手な犬に対しては、「おすわり」⇒「ふせ」⇒「よし」⇒「おやつをあげる」までを1サイクルとして、同じことを何回か繰り返し続けてもいいと思います。吠えてしまったら、さっとおやつを取り上げてやり直します。基本的には、犬が吠えるのを忘れてくれていたらいいのですから。

こういうやり方で、犬が「誰か来たときに吠えなかったらうれしいことがある」と学習していくようにし向けます。

もっとも、これは普段からのトレーニングが大切ですから、家を訪ねてくる親戚の方や友人などに協力してもらって犬のしつけをしておきましょう。

インターホンで応対している最中など犬に声で指示できないときもあると思いますが、普段から声による指示とともにハンドシグナルを加えていると、ハンドシグナルによる無言の指示だけで犬が従うので便利です。時々、ハンドシグナルだけのトレーニングをしておいたらさらに確実でしょう。

問題は、犬が興奮しすぎてパニック状態になって吠え続け、飼い主の「いけない」という制止の声すら耳に入らないときです。犬が気づくように大声で叫べばいいかというと、決してそうではありません。かえって重々しさを欠き指示語とわからないような大声では、飼い主が自分を加勢してくれていると犬が誤解し、その興奮に拍車をかけてしまうだけです。

そのようなときは、犬が我に返って飼い主を見るようにする工夫が必要です。水鉄砲で犬の顔に水をかけたり大きな音を出したりといろいろな方法があると思いますので、お好きなやり方を選んでみてください。ただし、体罰はいけません。

犬が飼い主に従属するという関係がつくられていず、犬が飼い主を頼りなく感じたり自分が上だと思いこんでいると、必然的に犬は飼い主の指示を無視しますから上記の方法はとれません。その場合は、基本的な主従関係をつくるトレーニングからやりなおしてみてください。


③不安や恐怖感から吠える場合

「何? 何が起こるの?」「怖い!」という不安感や恐怖感の裏返しで吠えまくる臆病な犬がいます。こういう犬は自分を表面的だけでも強く見せたがるのです。自分の後ろに飼い主が控えているという思いが、その行為を助長させることもあります。こういうとき、しっぽを後ろ足の間にはさんだり後退しながら吠えるという、犬の典型的な怖がっている姿勢を見せていることでしょう。

この場合は、叱っても犬をおびえさせるだけで効果がありません。まず、犬が安心できるように「大丈夫よ」などと、やさしく声をかけてあげましょう。

また、このような気の小さい犬は、ふだんからいろいろな人や犬に慣れさせておく努力をしてください。

本当は子犬の頃から、できるだけ多くの人や犬と交流させて社会性を身につけさせなくてはならないのです。いろいろな格好をした人の姿を見せておくことも必要です。めがねをかけた人、マスクをした人、帽子をかぶった人、大きな荷物をかかえた人など、人間にとってあたりまえの姿が、犬にとっては知らないがゆえの不安や恐怖を感じてしまうことにつながるのです。

しかし、成犬であってもまったくの手遅れということはありません。たとえば、お客さんに対して怖がっている犬に対しては、友人や親戚の方などにお願いして、犬と仲良しなってもらうのです。お客さんという存在におびえなくなっていけば、自ずと怖がって吠えるという行為も消えていくはずです。

お客さんに協力をお願いできる場合には、お客さんが来る前に、犬をいつものケージやサークルに入れておきます。お客さんが来た気配を感じて犬が吠えだしたら、できるだけ安心させられるようにやさしく声をかけてあげます。

お客さんが犬のいる部屋に入ったら、膝を床につくなどして目線を犬と同じ高さにそろえてもらいます。犬を正面から見据えないように、体が犬に対して横を向いているようにします。飼い主さんもお客さんと並んだ位置に一緒にいるようにします。このとき、お客さんと飼い主が向かい合う位置にいると、犬がふたりを敵対関係にあると誤解してますます緊張してしまうことがあるのです。お客さんとは並ぶようにしてください。

飼い主さんが犬を安心させる言葉をかけながら、お客さんに、犬と目を合わせないようにして手を下からゆっくり出してもらいます。大抵の犬は、手のにおいを嗅ぎに近づいてくるので、しばらくにおいを嗅がせておきます。

犬がにおいを嗅ぎに近づくこともできない状態でしたら、お客さんには、犬の大好きなおやつを持った手を下からゆっくりと出してもらい、犬のほうから近づいてにおいを嗅ぎにくるまで犬のほうを見ないでおいてもらいます。犬が近づいておやつを食べたそうにしたなら、そのままおやつを与えてもらってください。

犬がお客さんの手のにおいを十分に嗅ぎ落ち着いたなら、犬をケージやサークルから出してあげます。その後は、犬の好きなようにさせておきましょう。お客さんには、犬が欲するときに声をかけたりなでたりしてもらいながら、次第に仲良しの度を深めていってもらいましょう。


④うれしくて興奮して吠える場合

「キャ! 遊びに来てくれた人がいる! うれしいな!」-お客さんが来たことがうれしくて興奮してしまい、吠え続ける犬がいます。

そんな犬に対しては、飼い主が厳しく「いけない」と叱ります。そして、「すわれ」と指示し、座ったら「まて」でそのままの姿勢を維持させます。その姿勢でいられれば、犬も落ち着いてくるはずです。座ったまま吠えたり動いたりしたら、同じように「いけない」と叱ります。

このとき、お客さんの前だからと言って厳しさを欠いていたら、犬が従いません。飼い主さんは威厳を見せて強く叱りましょう。吠えるのをやめたら、ほめてあげます。

「いけない」にも「すわれ」にも「まて」にも従えない犬の場合は、飼い主さんと犬との関係に問題があるのですから、犬が飼い主さんに従属するという関係をきちんとつくるために、「主従関係をつくるトレーニング」からやりなおしてみます。差しあたって、どうしても吠え続けてしまう犬に対しては、別室に移動するなどして犬を無視します。吠えるのをやめ落ち着いてから一緒に過ごしてあげるようにしましょう。

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