いろいろな場面で役立つ「待て」の覚えさせ方

「すわれ」ができるようになったら、「まて」を教えます。これは、文字通り「待ちなさい」という意味です。この指示によって犬が動きを止めて待てるようになれば、いろいろな場面で役立つようになるので、非常に重要なトレーニングだということが言えるでしょう。

たとえば、犬が他の犬に気づいて吠えかかろうとしたときに「まて」。飼い主の帰宅に驚喜して飛びつこうとしたときに「まて」。トイレでない場所で排泄をしようとしたときに「まて」。散歩中、リード(引き綱)をぐいぐいと引っ張ってしまったときに「まて」。横を通り過ぎた自転車につられて走り出しそうになってしまったときに「まて」。動物病院の診察台の上に乗せて「まて」…。まさに「とっさの一言」としてもこれにまさる指示語はなく単独でも、さらに他の指示語と組み合わせても使えるいわば万能語なのです。

組み合わせるというのは、犬が吠えかかろうとしたときに「いけない」「まて」と組み合わせて指示するということです。この指示によって、犬は吠えるのをやめて静止したまま待つことができるのです。お店の外で飼い主を待つことになっても、きちんとしつけられた犬は、「ふせ」「まて」と指示されることで、伏せた姿勢のまま飼い主の帰りをおとなしく待つことができます。

もっとも、現代の日本では、お店の外に犬をつないで待たせることが条例で禁止されている自治体があります。そういう自治体の中では、犬をお店の外で待たせることはなさらないでください。また、待たせられる場合でも犬の安全には細心の注意を払い、お店の中から犬の様子を確認しながらごく短時間にしましょう。簡単に誘拐されてしまいそうな小さな犬の場合は、やめておいたほうが無難です。

さて、「まて」の覚えさせ方です。①の「すわれ」ができるようになってから、餌の入った食器を犬の前に出しながら「まて」と指示します。このとき飼い主は手のひらを犬のほうに向けて、手の動きでも制止を表します。

万能語とも言える「まて」。手のひらを犬に向け、言葉と手の動き双方で制止する


もちろん、まだ「まて」の意味を知らない犬は、餌が床に置かれた瞬間に近づいて食べようとします。そのとき「すわれ」と声をかけ、再び「まて」と言いながら食器をさげていきます。このような方法で犬が「まて」と言われたときには動いてはいけないということを悟るまで繰り返します。

最初は、ほんのちょっと「まて」ができたら、「よし」と声をかけて食べさせてかまいません。そして、毎日、少しずつ「まて」の時間を延ばしていきます。

この「よし」もまた「許可」を表す重要な指示語の一つです。ほめるときの「よし、よし」とは違うのですから、「よしっ!」と短く歯切れよく発音してください。

このしつけがしっかりとできると、犬は「よし」と許可されるまで、何分間でも静止して待てるようになります。実際、飼い主が「よし」という許可を出し忘れてその場を離れてしまったために、次に飼い主が姿を現して犬が餌を食べていないことに気づくまで、空腹を抱えながら待ち続けていたという犬もいます。

こういうことが、餌をあげるときに限らず、いろいろなしつけや日常生活において活きてきます。しっかりと犬に身につけさせ、餌をあげるときの「すわれ」と一緒に、毎食必ずやらせるようにしましょう。

次の段階では、リードをつけた犬に「すわれ」と指示して犬を座らせたまま、飼い主がリードが伸びるところまで後ろにさがっていきます。犬がつられて動こうとしたら「まて」と声をかけます。犬が動かないでいられたら、「よし」と動いてよい許可を出し、たくさんほめてあげてください。

これができるようになったら、10メートルくらいの長いリードを使い、もっと飼い主が離れても動かないで待つ練習をします。この練習によって、飼い主が離れたところから声をかけても、即座に「まて」の指示に従えるようになります。

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